暴行の刑事事件を弁護士に相談
Q.警察沙汰になるほどの暴力を振るったつもりはないのですが、暴行罪として検挙されました。何をすると暴行になるのですか?
人の身体に対して違法に力を加えると、暴行罪になります。本人としては警察沙汰になるほどの力は込めなくても、人の身体に向けられた違法な力の行使であれば暴行罪になる可能性があります。これに対して、力を向けた先が人の身体ではなかったという場合であれば、暴行罪にはなりません。ですので、力を加えた対象が身体ではなくたとえば物に過ぎなかったという場合には、弁護士はその点を指摘して、暴行罪は成立しないと主張します。ただし、人の身体ではなく、物に対して力を加えたという場合でも、物を通じて間接的に一定の人に物理的・心理的な影響を与えるものであるときは、犯罪が成立する可能性があるので注意してください。
Q.暴行はどれくらい重い罪ですか?
暴行罪は、傷害罪よりは軽く、2年以下の懲役または30万円以下の罰金、あるいは30日未満の拘留ないしは1万円未満の科料となる罪です。なお、任務中の警察官に暴行を加えたことにより、公務執行妨害罪となったときは、3年以下の懲役か禁錮、あるいは50万円以下の罰金となります。同じく強要罪となったときは、3年以下の懲役となります。
Q.逮捕された後、帰宅を許されました。この後はどうなりますか?
今後は、基本的に在宅(留置場で身柄を拘束しないこと)で捜査が続くことになります。警察で捜査を遂げた後は、事件が検察庁に送致され(書類送検といいます)、検察官が起訴するかどうかの判断をします。初犯の暴行罪であれば、起訴猶予(不起訴処分の一つ)や罰金で終わることが多いです。注意しなければならないのは、帰宅を許されたからといって、事件が終了したわけではない、ということです。最終的に暴行罪の前科を付けたくないのであれば、事件が不起訴処分で終わるように、弁護士を立てて適切に対応していく必要があります。
Q.暴行でも前科がつくことはありますか?
暴行でも前科がつくことはあります。暴行の態様が悪質であるとか、被害者が厳罰を希望しているといった事情があれば、罰金刑や懲役刑となることがあります。この場合は、前科がつきます。私たちが主催する法律相談会でも、「暴行くらいなら大丈夫だろう」という安易な考えで事件を放置した結果、ある日突然、検察庁から呼び出しを受けて、略式罰金の同意書にサインを求められた、などのケースをよく目にします。暴行罪の前科を付けたくないというのであれば、私選弁護士を立てて、被害者と示談を締結し、「被害者対応を十分に尽くしたこと」を弁護士の意見書をもって検事にアピールする等、最善を尽くす必要があります。
Q.被害者に謝りたいのですが、会ってくれません。どうすればいいですか?
「本人とは会いたくないが、弁護士となら会ってもいい」という被害者の方は多いです。ですので、被害者に謝りたい場合や示談をしたい場合は、弁護士を間に立てるのがスムーズです。弁護士であれば「会いたくない」と言っている被害者に対して、様々な方法で示談をアプローチすることができます。暴行の加害者本人が被害者への接触を試みると、捜査機関から二次被害や報復を懸念されるため、この観点からも第三者である弁護士を立てて被害者に謝罪を試みるのが得策です。
Q.お互いに酒に酔った上でのケンカでも、こちらだけが暴行罪で罰せられますか?
ケースバイケースです。あなただけが暴行罪で罰せられることもありますし、双方に暴行罪が成立する場合もあります。そして、起訴されるかどうかの判断においては、暴行の態様だけでなく、暴行に至った経緯も考慮されます。ご相談のようなお互いに酒に酔った上でのケンカは、売り言葉に買い言葉の結果で、どちらにも非があるということが少なくありません。そのような場合には、あなたの振るった暴行の態様が一方的に悪質でなければ、不起訴になることも見込めます。
他方で、発端はお互いに非がある場合でも、あなたの振るった暴力が一方的に悪質であるときは、あなただけが暴行罪で起訴され、処罰されるということもあり得ます。また、お互いに酔っていたにしても、あなたの方からケンカを吹っかけた場合にも、あなただけが暴行罪で起訴されて処罰されることがあります。暴行の態様や暴行に至った経緯からしてあなたに不利な場合でも、相手方と示談を交わして許してもらえば、事件は起訴されずに終了することが多いです。