児童ポルノの刑事事件を弁護士に相談
Q.児童の裸の写真を撮ることは何罪に当たり、どのぐらい重い罪なのですか?
児童の裸の写真を撮影した場合、他人にその写真を提供する目的だったときは、児童ポルノ製造罪に当たります。3年以下の懲役か、あるいは300万円以下の罰金に処せられます。また、他人に提供する目的がなく自分で楽しむだけのつもりだった場合でも、児童に服を脱がせてその姿を写真に撮影したときは、同じく3年以下の懲役か300万円以下の罰金に処せられます。
Q.相手の女の子に写真を撮らせて、写真を送信してもらっても罪になりますか?
写真を自分で撮るのではなく相手に撮らせたうえで送信してもらう行為も、児童ポルノの製造罪に当たります。児童ポルノを、相手の側だけでなく、自分の側のデータにも保存する点で、新たな児童ポルノを作成しているからです。
Q.18歳未満だと知らなかった場合にも罪になりますか?
相手が「児童」すなわち18歳未満だと知らなかった場合には、児童ポルノの罪の故意がないため、犯罪になりません。しかし、「相手が18歳未満かもしれない」と思っていた場合には、未必の故意があったとして、児童ポルノの罪が成立してしまいます。そして、捜査機関は取り調べにおいて、誘導などあの手この手で、あなたが相手について「18歳未満かもしれないと思っていた」と言わせようとしてくるのが通例です。取り調べのプロのテクニックを前にして、あなた1人で適切な対応をするのは非常に難しいため、もし取り調べで「18歳未満だとは知らなかった」という主張をしたい場合は、事前に児童ポルノ事件に精通した弁護士からアドバイスを受けておくことをお勧めします。
Q.ファイル共有ソフトの基本設定に詳しくなかったため、児童ポルノを意図せず公開してしまいました。このような場合でも罪になりますか?
児童ポルノ提供罪に該当する可能性があります。また、客観的には、あなたがファイル共有ソフトを通じて児童ポルノを公開して提供した格好になっているため、どうしても同罪の容疑はかかってしまいます。事実、弊所で取り扱った事件でも、最終的には不起訴処分になったものの、故意にファイル共有ソフトで児童ポルノを拡散したとして、児童ポルノ提供罪の容疑で厳しい取り調べを受けたケースが複数あります。不起訴処分を獲得するためには、単に「ファイル共有ソフトの仕組みを知らなかった」と主張するだけでは不十分で、これを裏付ける具体的な主張や資料を提出する必要があります。弁護士がこの種の刑事事件に関与すれば、あなたは取り調べで容疑を否認しつつ、同時に弁護士が「犯罪の故意がなかったこと」を裏付ける意見書を提出して検事を説得することができるので、この点でメリットがあります。
Q.児童ポルノの事件で示談金を払うメリットはありますか?
児童ポルノの事件でも、相手方との示談による解決で、刑事処分が軽くなる場合があります。その意味で、ケースにもよりますが、示談金を払うことにはメリットがあります。もっとも、検察官によっては、児童ポルノの罪の公益侵害的な性格を重視して、示談を交わして許しを得ていることを重視してくれない(不起訴にしてくれない)場合もあります。
その場合でも、弁護士は検察官に対して、あなたがすでに示談金を払っていることを指摘して、なるべく軽い刑事処分を求めていくことになります。
Q.自宅のパソコンに他の児童ポルノが保存されています。警察にいうべきですか?
余罪の児童ポルノを自ら警察に言うべきかどうかは、あなたが何を重視するかによって変わってくるので、まずは警察に申告することのメリット・デメリットについて弁護士に相談するのが一番です。たしかに余罪を自ら申告することは、反省を示す情状の1つにはなります。ただし、余罪が多ければ多いほど、逮捕されるおそれは高まりますし、刑は重くなります。自宅に余罪の児童ポルノがあることを警察に伝える際には、そのリスクをよく理解しておく必要があります。他方で、余罪の証拠を犯人自らが隠滅することは、それ自体は犯罪ではありませんが、余罪の証拠隠滅行為がばれた場合には、将来的に悪い情状にはなることが想定されます。
Q.押収された携帯電話やパソコンは返ってきますか?
押収された携帯電話やパソコンについては、返還を請求することができます(還付請求といいます)。個人が返還を請求すると、捜査機関から何かと理由をつけてはぐらかされることがあります。これに対して、弁護士が請求すれば、捜査機関も適切に対応せざるを得なくなります。ただし、児童ポルノが保存された携帯電話やパソコンの場合ですと、返還される時期は、中身の復元や解析が終わってからになります。
Q.児童ポルノで捕まったことが報道されることはありますか?
あります。インターネット検索で「児童ポルノ 逮捕」「児童ポルノ ニュース」などと検索してみてください。非常に多くの事件で、本人の本名を含め、報道されていることが分かります。一般的にいって、報道されるかどうかは、ニュース性や重大性、公共性などが考慮されて判断されます。児童ポルノの場合は、たとえば、所持していた児童ポルノの数が大量であった場合などには、ニュース性があるとして報道されることが考えられます。これを法的に阻止することは困難ですが、事実上、弁護士から捜査機関に情報リークを控えるように意見書を申し入れることはできます。実際、弊所で取り扱った逮捕案件でも、ご依頼者の依頼に基づき、捜査機関にマスコミへの情報リークを控えるよう申し入れたケースが数多くあります。